豪雨、地震…旅先で自然災害にあったらどうする?防災のプロに聞く!もしものための備えとは

img1

近年、台風や線状降水帯による集中豪雨の発生回数が増加し、河川の氾濫や土砂の流出など、各地で甚大な被害をもたらしています。今や地震を含め、いつ、どこで自然災害に巻き込まれてもおかしくありません。日常生活はもちろんのこと、旅行に行く際も、いざというときのための備えが大切です。旅をより楽しむために、旅行前や旅行中にどのようなポイントを意識し、対策を立てればよいのか。国際災害レスキューナースとしても活躍する、防災の専門家・辻直美さんに聞きました。


旅行前に準備!いざというとき役立つ防災グッズ

img1

「防災をもっと前向きに捉えてほしい」と語る辻さん


旅行の準備をする際に、「防災」までは意識が向きにくいもの。旅のワクワク感が損なわれると感じる人もいるかもしれません。しかし、辻さんは「防災をもっと前向きに捉えてほしい」と話します。

「みなさん、日常生活の中で長時間、電車や飛行機に乗る前はトイレに行きますよね。外出時に水筒を持っていく人も多いでしょう。これらはすべて“備え”なんです。日常と防災をひと続きのものと考え、いま実践している”備え”をバージョンアップするといいでしょう」

旅行前にまず習慣づけたいのが、宿泊地や観光地周辺のハザードマップの確認。その地域でどのような災害が起き得るのかがわかるほか、避難場所も記載されています。

「災害の種類によって避難すべき場所が異なる場合があり、それもハザードマップを見ればわかります。地震や風水害など、災害の種類ごとにそれぞれ3カ所程度、目星をつけておきましょう。現在はコロナ禍で避難所の収容人数が従来の3分の1ほどに縮小されているため、複数の避難場所を選択肢として持っておいた方が安心です」

img1

防災のための必携グッズとして、辻さんが普段から肌身離さず携帯しているのが、「方位磁石」「ソーラーライト」「防災笛」「(小型のハサミやナイフなどが付いた)マルチツール」。この4つを登山用具のカラビナなどでひとまとめにし、ベルトループなどに通して旅先でも持ち歩くようにすると、いざというときに役立ちます。「方位磁石」「ソーラーライト」「防災笛」は、100円ショップなどでも入手可能です(※マルチツールなどの工具類は飛行機の機内持ち込みはできません。出発前に預ける必要がありますのでご注意ください)。

これらに加えて辻さんは、被災時にあると便利なグッズを防水のポーチに入れた「防災ポーチ」も、日常的に携帯するよう勧めます。旅行の際はこのポーチをそのまま旅の荷物に加えるだけなので、準備も簡単です。


防災ポーチに入れるもの/チェックリスト

▢ モバイルバッテリーとUSB充電器
▢ 持病の薬10日分
▢ お薬手帳…スマートフォンが使えないときや自身の意識がないときなど、アプリは緊急時に見られない可能性があるので、紙の手帳があると安心
▢ エマージェンシーシート…緊急時に雨風などから身を守る防寒用
▢ 45Lのゴミ袋…雨合羽や非常用トイレとして代用可能。数枚重ねてバッグなどに被せれば、簡易の貯水タンクにも
▢ 穴を開けたペットボトルのキャップ…ペットボトルに装着し、手洗いなどに使えるペットボトルシャワーに
▢ 飴などのお菓子…糖分補給のほか、気持ちを落ち着かせる効果も


モバイルバッテリーとUSB充電器

img1

災害時にスマートフォンが使えないという事態は絶対に避けなければいけません。
「そのために、充電済みのモバイルバッテリーとUSB充電器は必携です」


エマージェンシーシート

img1

登山でも使われるエマージェンシーシート(レスキューシートやサバイバルシートとも呼ばれます)は、緊急用の保温グッズとして重宝します。
「災害でライフラインが止まってしまった場合、特に寒い季節は屋内の避難所でもかなり冷え込みます。そんなときに体温の低下を防いでくれますし、軽くてかさばらないので必ずポーチに入れておいてほしいです」


穴を開けたペットボトルのキャップ

img1

ペットボトルのキャップには、キリなどで事前に小さな穴をあけておきます。

「災害時は水がとても貴重。ペットボトルの水で手などを洗うとき、飲み口からそのまま出すと水をムダに使ってしまいます。これくらい小さな穴でもシャワー状に水が出て、少ない量で十分洗えます。穴の数は1つものが用途が広くておすすめです」

エマージェンシーシートや穴をあけたキャップは、平時であればほとんど出番はありません。
「防災は大げさなくらいでちょうどいい。特に知らない土地で過ごすことになる旅行中は、いつも以上に備えを万全にしたいですね」

さらに、旅行予定期間に天候の悪化などが見込まれるときには、「旅行を延期・キャンセルするという決断も必要」と辻さん。その場合、キャンセル料がいつから、いくら発生するのかは宿泊施設により異なります。また、同じ宿泊施設でもプランや日程によってキャンセル料が変わることもあります。予約時にはキャンセルポリシーをしっかり確認しておきましょう。


旅先に到着したら、まずチェックしたい2つのこと

img1



※デイリースタンプGETのボタンはデイリースタンプラリー用のボタンです。1日1回押すことができます。(記事は問いません。)