キックバックとは。言葉の意味とその問題点や関連するキーワード
この記事のライター:Tsun
キックバックとは、取引先に対して謝礼目的で支払う金銭です。実際のビジネスシーンでも行われていて、本来違法性はありません。本記事では、キックバックの基本的な意味と、違法になってしまう具体例について、わかりやすく解説します。
キックバックとは簡単に言うとどういう意味か
キックバックとは、簡単に言うと、取引先等に渡す謝礼金です。実際のビジネスシーンでも行われていることで、通常のキックバックであれば、違法性はありません。「うちの商品を今期中に100個売ってくれたら、売り上げの10%をキックバックします」といったように、基本的に販促目的で行われます。
取引先や代理店は、このキックバックを魅力に感じれば、販売促進に協力してくれたり、発注してくれたりするでしょう。一方は売上げが上がり、もう一方はキックバックを得られるので、いわゆる「Win-Win」の関係です。
ただし、キックバックを行う会社間で合意が取れていなかったり、相手方が損失を被るようなキックバックを受け取っていたりする場合には、罪に問われる可能性があります。
キックバックは何が問題なのか
先にお伝えしたように、キックバック自体に違法性はありません。多くのビジネスシーンで行われている日本の商習慣とも言えます。それにもかかわらずキックバックという言葉に良いイメージをもっていない人が多いのは、キックバックを不正に受領して事件に発展してしまったケースがあるからでしょう。
例えば、取引を行う会社間でキックバックの合意がなく、取引先と交渉する社員個人が内密にキックバックを受領するケースです。営業の社員がキックバック分を会社の発注額に上乗せして契約したとすると、会社はその分余計な金額を取引先に支払うことになり、損失が発生します。このような場合、キックバックを受け取った社員と取引先の担当者は、詐欺罪や背任罪を問われてもおかしくありません。
キックバックの具体例
キックバックには、会社間の合意なく一方が損をする悪いケースと、合意の上で販売促進として利用される良いケースがあります。どちらも具体例で確認していきましょう。
・キックバックの悪い例
メーカーAが商品製造を委託する製造会社を探しているとします。メーカーAの社員Bは懇意にしている製造業者Cに話を持ち掛け、製造業者Cは本来100万円で十分なところ150万円に水増しして見積もりを出しました。社員Bはそのことを知りながら、AC間で150万円の契約を結ばせ、製造業者Cは余分に受け取った50万円を社員Bにキックバックしました。
このケースでは、社員Bはキックバックとして50万円受け取っていますし、製造業者Cは受注し商品を製造しているため粗利を稼げます。一方メーカーAは本来100万円で済む発注額に上乗せして50万円を支払っているため、損失を被っています。これが不正のキックバックの例です。
・キックバックの良い例
生命保険会社Aが代理店Bに新商品の販売促進を依頼します。生命保険会社Aは代理店Bに対して、新商品を販売してくれたら、通常の報酬に上乗せして売り上げの20%を代理店Bにキックバックする提案をし、代理店Bもこれに合意しました。
代理店Bは新商品を販売すれば通常よりも大きな報酬を得られますし、生命保険会社Aは新商品により多くの顧客を獲得し、次の販売に生かすこともできます。
また販売側は、値下げできる商品やサービスであれば、キックバック分を商品やサービスの値下げに充てることもあります。通常よりも安い金額で販売することで、販売者の取り分は減りますが、消費者にメリットがあり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
このようなキックバックの活用は、販売促進として有効です。
キックバックと一緒に出てくることが多い「リベート」や「バックマージン」などの意味
キックバックと似たようなシーンで使われる言葉に、リベートやバックマージンなどがあります。これらの言葉が意味するところは、キックバックとほぼ変わりません。商品やサービスを販売した人に対して、その販売額の数%を支払うなどの意味合いがあります。
商品やサービスを提供している「会社」から、実際に販売した「営業担当者」や「代理店」に支払われるイメージです。リベートやバックマージンもキックバックと同様、販売促進として利用されるもので、本来、違法ではありません。
似たような状況で支払われる金品に対して「賄賂」という言葉が使われることがあります。賄賂は、そもそも不正な贈り物という意味がありますので、キックバックやリベート、バックマージンとは異なります。