映画『ゴールデンカムイ』『カムイのうた』で触れるアイヌの歴史や文化。ゆかりのスポットも紹介

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2024年1月、北海道の先住民族・アイヌの歴史や文化に触れることができる映画が2作品公開されます。その見どころと意外な(?)共通点を映画評論家の轟夕起夫さんが解説。さらに、道内のアイヌ民族ゆかりのスポットも紹介します。

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映画評論家
轟 夕起夫(とどろき ゆきお)

映画評論家 轟 夕起夫(とどろき ゆきお) 雑誌『キネマ旬報』『月刊スカパー!』『シネマスクエア』『DVD&動画配信でーた』や、映画サイト「シネマトゥデイ」「映画ナタリー」「松竹シネマPLUS」などで執筆中。著書に「映画監督になる15の方法」(洋泉社)、「轟夕起夫の 映画あばれ火祭り」(河出書房新社)、編著・共著に「清/順/映/画」(ワイズ出版)、「好き勝手 夏木陽介 スタアの時代」(講談社)、「伝説の映画美術監督たち×種田陽平」(スペースシャワーブックス)などがある。

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タイトルに「カムイ」が付く2作品が公開

大人気漫画を映画化!『ゴールデンカムイ』

北海道を舞台とした映画はとても多いですが、そこに新たに偶然ながら、タイトルにアイヌ語の「カムイ」と付いた2本の作品が加わり、全国で公開されていきます。すなわち、『ゴールデンカムイ』と『カムイのうた』(道内にて一部、先行上映済み)の2作。

カムイとは、日本語だと手っ取り早く「神」と訳されてしまうのですけど、厳密にはちょっと違っていて、人間を取り囲むこの世のあらゆるものに〈魂〉が宿っているという信仰心の表れ――とでも言ったらよいでしょうか。

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さて、現在使われている北海道の地名のほとんどがアイヌ由来であるのはよく知られています。日本列島北部周辺に先住し、特定の文字を持たずとも、独自の言語と生活様式を有してきたアイヌ民族。

近年、その歴史と文化が改めて大きな注目を集めているのは、野田サトル氏(北海道北広島市出身)の冒険活劇漫画『ゴールデンカムイ』の人気と影響力によるところが大でしょう。すでに長期連載は完結、久保茂昭監督の手で実写化された今作は、さらにアイヌ文化への関心を高めることになるはず!

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時は明治末期、日露戦争の直後。主人公は鬼神のごとき戦いぶりによって「不死身の杉元」と呼ばれる元軍人の杉元佐一(山﨑賢人)で、ある目的のために大金を求めて北海道に渡ります。そして、網走監獄にいる死刑囚の男がアイヌの民から奪い、隠した莫大な金塊の存在を知ることに。

隠し場所は24人の刺青人皮(いれずみにんぴ)、脱獄囚たちに彫られた刺青すべてを集めると一つの暗号になり、杉元は野生のヒグマに襲われた危機を救ってもらったアイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)と共に金塊探しの旅へ。

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かたや、北海道征服を目論む大日本帝国陸軍「第七師団」の情報将校・鶴見篤四郎中尉(玉木宏)や脱獄囚のひとり、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)らも金塊を狙っていて、激烈な争奪戦が展開していきます。

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トンデモなく屈強な杉元と、大自然の中で生きるための知恵、優れた狩猟技術を誇るアシㇼパのコンビ、それからモンスター級の鶴見中尉や土方歳三もそうですが、凄腕のスナイパー・尾形百之助(眞栄田郷敦)や、全身の関節を容易に脱臼させられる特異体質の持ち主、脱獄王・白石(矢本悠馬)ほか登場人物は皆、原作にのっとって魅力的にキャラ立ちをしていて、楽しい。

また映画『HiGH&LOW』シリーズの肉弾アクションと熱気を帯びた人間ドラマを牽引した久保監督は、『ゴールデンカムイ』のサバイバル・バトルな世界観にうってつけ。




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