家族信託とは|家族の財産を守るために必要な知識―高齢者家族の財産保護編 (第2回)

家族信託の活用方法について、具体的な事例を用いてご説明いたします。今回は、高齢者家族の財産保護に焦点を当てたいと思います。

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両親の将来が不安な場合

まずは具体的事例を挙げてみましょう。

母親(80歳)は、夫が他界して現在、1人暮らしをしている。母親は、最近、訪問販売で高額の商品を購入してしまうなど、判断能力に不安を抱えている。母親が1人で住む自宅は、母親名義であるが、その他、目立った財産としては、母親名義の貯金が500万円程度あるだけである。今後、訪問販売での被害だけでなく、特殊詐欺等のさらに大きな被害に会わないか母親自身、心配をしている。そのため、今の生活を変えないで、長女に預貯金や自宅等の財産管理をお願いしたいと考えている。


また、自身の認知症が進行した場合は、遠方に住んでいる長女に迷惑をかけたくないので、自宅を売却して、その費用で特別養護老人ホームに入所することを希望している。他方で、母親自身が自力で生活できるうちは、長年住んできた自宅を離れたくはないとも考えている。 家族会議において、母親から以上のような本音を打ち明けられた長女は、母親の認知症が進行する前に、なんとか母親の希望を叶えてあげたいと思いつつ、なかなか解決策を見つけられないでいた。


法律相談へ
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長女は母親の問題についてアドバイスをもらうため、近隣の法律事務所へ法律相談に行った。法律事務所では、現時点で母親の認知症の進行が認められないので、成年後見人の選任はできないから、母親と長女が任意後見契約の締結をして任意後見人となることを勧められた。

長女はアドバイスを受けて任意後見契約について調べたところ、任意後見契約を締結し任意後見人になれば、母親の財産管理や身の上監護などを自身でできるようになることが分かった。しかし任意後見契約にはデメリットもあるようであった。

具体的には、わざわざ家庭裁判所に任意後見人の選任の申立てをしなければならないこと、任意後見人には任意後見監督人が必要であること、任意後見監督人には弁護士等の専門家が選任されることが多く、その場合、毎月1万円から2万円程度の費用がかかること、長女が任意後見人に就任した場合でも、母親は、自由に預貯金の出金等ができてしまい、詐欺被害等にあう可能性があることなどのデメリットがあることが分かった。長女は、任意後見人について調べれば調べるほど、自分が就任することにとまどいを持った…




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