株主優待(かぶぬしゆうたい)とは。おすすめ銘柄と利回りをチェック
この記事のライター:黒川ヤスヒト
株式を保有することで得られる利益のひとつが株主優待です。 ここではおすすめの銘柄や優待を受け取る方法などを解説しています。 また優待利回りの計算方法や利回りが高い銘柄も紹介しています。
株主優待は配当金と並ぶ株主還元のひとつ。
企業が自社の株券を保有する株主に対して、商品やサービスなどを提供します。
こうした株主優待は日本特有の制度で、海外ではあまり行われていないようです。
2019年の数字では、日本の上場企業のうち株主優待を実施しているのは約37%となっていました。
上場企業4,096社のうち、1,521社です。
これだけの数があれば、受け取ってみたいと思う株主優待を、いくつか見つけられるかもしれません。
企業にとっても株主優待の実施は、自社の商品やサービスを知ってもらい、長く株式を保有してくれる固定ファンを獲得する機会になります。
株主優待を受け取る方法について確認しておきましょう。
まずは必要な株式数を保有していなければなりません。
例えば、株主優待として宿泊のクーポン券を受け取れるとします。
条件として100株以上500株未満保有しているなら1枚、500株以上なら2枚といったことが決められています。
さらにその株式を「権利確定日」に保有していることが必要です。
そのためには、権利確定日を含めて数えると3営業日前となる「権利付最終日」までに購入する必要があります。
気になる株主優待が見つかったら、必要な株式の数と購入期限をよく確認しましょう。
必要な株式の数がわかれば、株価を掛けることで、購入に必要な金額も計算できます。
株主優待として受け取れるものには、食品や日用雑貨などの自社製品がありますが、なかなかこれといったものが見つからないこともあります。
そんなときにおすすめできるのが、クオカードなどの「プリペイドカード」や、グループ内のお店で使える「お食事券」です。
クオカードは様々なお店で使えますが、オリジナルデザインのものを配ることで、それが株主へのアピールとなっているようです。
またよく利用するレストランがあれば、お食事券も使いやすい優待になるでしょう。
クオカードが株主優待となっている銘柄をひとつ挙げてみます。
東証1部に上場し住宅事業などを行う「タマホーム」では、500円相当のオリジナル・クオカードが株主優待となっています。
優待を獲得するのに必要な株数は、100株以上。権利確定日は、5月末と11月末の年2回です。
2020年10月での株価は、1,440円程度となっています。
100株だと、14万4,000円で購入できます。銘柄コードは、1419です。
また東証1部に上場する、銘柄コード3197の「すかいらーくHLDG」では、飲食代割引カードが株主優待となっています。
こちらは保有する株式数によって、割引カードの金額が変わってきます。
100株以上だと2,000円相当、300株以上だと5,000円相当、500株以上だと8,000円相当、1,000株以上では1万7,000円相当といった具合です。
権利確定日は、12月末と6月末。2020年10月での株価は、1,540円程度。100株購入するのに15万4,000円が必要となります。
なお、すかいらーくHLDGは、2021年から割引カードの金額を変更すると発表しています。
株主優待の内容は景気や経営状況によっても変化するので、企業業績に関心を持つことは必要です。
投資を行う際には、いくら投資してどれだけ利益が出たのか、利回りを計算します。
配当金であれば、「配当利回り」という言葉があります。
10万円で株式を購入し、年に5,000円の配当金を受け取ったとしましょう。
この場合、5,000円÷10万円×100=5%となり、配当利回りは5%と計算できます。
同じことを株主優待で行うのが、「優待利回り」と呼ばれるものです。
株主優待として受け取ったものを、換金した際の金額を使って計算します。
これを使うと株主優待がどれだけお得かが、比較可能となるのです。
優待利回りは、株価が高くなると下がり、株主優待を換金した金額が高くなると上がります。
タマホームの例では、100株を1年間保有すると、500円相当のクオカードを2回受け取れます。
ここでは、年間1,000円の利益があるとしましょう。
100株をある時点に14万4,000円で購入していれば、優待利回りは1,000円÷14万4,000円×100=約0.7%と計算できます。
すかいらーくHLDGのケースでは、100株以上で受け取れるのが、年間4,000円相当の割引カード。
そのまま4,000円として計算すると、100株を15万4,000円で購入していれば、4,000円÷15万4,000円×100=約2.6%。
クオカードと飲食代割引カードという、使いやすさの違いがありますが、単純な比較では優待利回りに大きな差が出てくるのがわかります。