iDeCo(イデコ)の仕組みを加入条件や注意点なども含め分かりやすく解説
この記事のライター:鈴村ひろみ
人生100年時代といわれる現代は、老後を快適に過ごすための十分な資金の準備が必要です。しかし、公的年金だけでは心もとないのが現実でしょう。そのような現代を生き抜くために有力な資産運用方法となるのが「iDeCo(イデコ)」です。最近はiDeCoという言葉を多く聞くようになったものの、どのような仕組みなのかが分からない人も多いのではないでしょうか。そこでここでは、iDeCoの仕組みや加入条件、加入時に注意すべき点などをまとめて解説していきます。
iDeCoとは
iDeCo(イデコ)とは、公的年金に上乗せする分を自分で作る私的年金制度の一種です。正式名称は「個人型確定拠出年金」で、愛称としてiDeCoと呼ばれています。iDeCoを知るには、まずは日本の年金制度をしっかり理解することが重要です。
参照元:(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
・日本の年金制度をおさらい
日本の年金制度は、以下のような3階建て構造にたとえられます。
● 1階部分:「国民年金」20歳以上のすべての日本国民が加入
● 2階部分:「厚生年金」民間企業に勤める会社員や公務員が加入
● 3階部分:「企業年金」一部の企業が任意で導入/「年金払い退職給付」公務員独自の制度
日本の年金制度では、各年金制度に加入し、将来給付される年金を積み立てる仕組みを取っています。そのため、各年金制度の加入期間によってもらえる金額はさまざまです。
1階・2階部分は、「公的年金」と呼ばれる対象者が必ず加入する制度であり、3階部分は企業によって任意加入となります。
そして、2001年に3階部分に追加導入されたのが確定拠出年金です。確定拠出年金は、会社または個人が拠出した掛金を従業員(加入者)が自分で運用しながら積み立てていきます。確定拠出年金のうち、企業が掛金を拠出するのが「企業型確定拠出年金」、個人が掛金を拠出するのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。
参照元:厚生労働省|公的年金の種類と加入する制度 公的年金制度の種類
・iDeCoの仕組みは?
iDeCoは、国からの税制優遇を受けながら自分の老後資産を自分で作る制度です。自分で拠出した掛金を自分で運用し、その成果を将来受け取ります。自分で運用すると聞くとハードルが高く感じてしまいますが、実際にやることといえばiDeCoに加入し、金融商品を選び、毎月掛金を拠出していくだけなので難しいことはほとんどありません。
では、ここからはiDeCoで資産を作る流れや特徴について詳しく解説していきます。
・iDeCoで老後資産を作る流れ
iDeCoで老後資産を作る流れは、大まかに以下のとおりです。
1. 運営金融機関を決める
2. iDeCoに加入する
3. 運用する金融商品・掛金を決める
4. 毎月自分で決めた掛金を拠出
5. 60歳以降に成果分の給付金を受け取る
まず、金融機関選びをします。金融機関ごとに取り扱っている金融商品のラインナップは異なり、手数料もさまざまです。「やっぱり他の金融機関に変えたい」と、後から変更しようとすると、面倒な手続きと変更手数料がかかります。変更手数料は金融機関によってさまざまですが、4,000円以上かかるところもあります。後悔しないよう、加入する前にしっかりと下調べをするようにしましょう。
続いて、各金融機関から入手できる「個人型年金加入申込書」を記入し、必要書類とあわせて金融機関に提出します。一部の金融機関では、オンラインでの加入も可能です。また、会社員や公務員は勤め先に証明書等を記入してもらう必要があります。
iDeCoの加入手続きが完了したら、運用する金融商品を選び月々の掛金を決定します。最初の手続きは多少面倒な部分もありますが、始めてしまえばあとは何十年とメリットを得られるため、早めに済ませてしまうのがおすすめです。
・iDeCoの特徴
iDeCoの主な特徴としては、以下の5つがあげられます。
● 任意加入
● 掛金・運用利益・受取時に税制優遇を受けられる
● 加入条件によって掛金上限が異なる
● 原則途中解約ができない
● 原則60歳まで引き出せない
iDeCoは税制優遇を受けながら公的年金にプラスして受け取れる年金のため、加入するメリットは大きいといえます。しかし、老後のための資金形成なので原則60歳までは引き出すことができません。万が一、資金が必要となったときでも基本的には引き出せないため、無理のない掛金を設定しましょう。
iDeCoの3つの税制優遇
iDeCoの大きな魅力に、国から受けられる3つの税制優遇があります。
1. 掛金拠出:拠出した掛金が全額所得控除の対象となる
2. 運用益:通常、運用益には源泉分離課税20.315%がかかるところ、非課税で再投資できる
3. 給付時:年金として受け取るなら「公的年金等控除」、一時金として受け取るなら「退職所得控除」の対象となる
一般的な株式投資などで、掛金が控除対象となることはなく、運用益には税金がかかります。しかし、iDeCoで運用すると、上記のような3つの節税メリットを受けながら資産形成が可能です。これから株式投資などに挑戦したいと思う方には、まずは節税効果のあるiDeCoを積極的に利用してみることもおすすめです。
参照元:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット
・iDeCoの掛金の上限はいくらまで?
DeCoは加入区分に応じて毎月拠出できる掛金上限が以下のように異なります
● 第1号被保険者(自営業者等):月額6万8,000円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額)
● 第2号被保険者(会社員・公務員等):月額1万2,000円〜2万3,000円
● 第3号被保険者(専業主婦・主夫):月額2万3,000円
上記の中でも、第2号被保険者はより詳細に分けられるので、以下を参考にしてください。
なお、iDeCoの掛金は月々5,000円以上1,000円単位で、限度額の範囲内で設定できます。掛金額の変更は毎年1回しかできないため、掛金の額は慎重に決めましょう。
・2022年の制度改正で加入を認められる対象者
iDeCoの加入はこれまで年齢が60歳になるまでと決められていましたが、2022年5月の制度改正により、加入対象者の年齢要件が拡大されました。拡大されたのは、具体的には以下のとおりです。
● 満65歳までの会社員・公務員等(国民年金第2号被保険者)
● 満65歳までの国民年金保険に任意加入している人
● 国民年金保険に任意加入している海外居住者
年齢要件は拡大しましたが、以下の年金を受給している人、受給したことがある人は加入できないので注意してください。
●iDeCoの老齢給付金を受け取ったことがある人、受け取っている人
●老齢基礎年金を受給している人、受給権がある人
●特別支給の老齢厚生年金を繰上げ受給している人
年齢幅が広まったものの、公的年金の受給バランスをみて加入できるかが決まるため、不安な方は「イデコダイヤル(0570-086-105)」で相談してみましょう。